おくりびと

◆おくりびと
監督 滝田洋二郎
出演 本木雅弘広末涼子山崎努余貴美子吉行和子笹野高史杉本哲太峰岸徹


クスッと笑って、いっぱい泣いて、とても温かい気持ちになれる映画でした。
正直“死”と言うナーバスな題材なので重い映画なのかな?と思って敬遠してたんだけど*1実際観てみたら全然そんな事もなく、むしろ前半は劇場内は笑い声が響いていました。ちょっと違うかもしれないけど綾小路きみまろさんのネタを連想しました(笑)笑っちゃっていいのかな?っていうギリギリのラインで笑いに変えてる・・・みたいな。


映画館に到着すると見た事もないぐらいの長蛇の列!「何だコレ!?」と思って元を辿ってみると全て“おくりびと”のお客さんでした(驚)
私がチケットを取った時はまだまだ余裕があったお昼からの回も上映までには満席になったようです。
あんなに観客でいっぱいになった映画館を見たのは小学生の時に行った“ドラえもん”以来です(笑)
年齢層も少し高めのようで、約2時間もたないのか席を立つお客さんが多かったように思います*2


この映画は、主演の本木さんが何年も前から温めてきた企画なのだそうです。
なるほど、本木さんにピッタリの役でした。*3
ちょっとコミカルで、深くやさしい心を持っていて、それでいて芯のある人。
初めて足を踏み入れる世界だから戸惑いなんかもあるだろうけど全部受け止めて、最後には憎んでいたはずの自分を捨てた父親をも受け入れ・・・。


それ以外のキャストも素晴らしい方ばかりで、それぞれのシーンで笑わされ&泣かされました。
でも、主人公の妻役の広末さんだけはちょっと残念かな〜。
決して彼女が良くなかった訳ではなくて、周りが良すぎたって事なんだと思います。
アカデミー賞の授賞式などで主演女優という事でクローズアップされていたから期待しすぎちゃったのかもしれないけど・・・。
日本アカデミー賞の主要部門であれだけ最優秀をかっさらったこの映画が、主演女優賞だけ逃した事がいい例えでしょう。
でもまあ、彼女は棚ぼたですよ。これで少なからず海外に顔が売れたんだから。*4


ステキな映画でしたが、2つだけ気になった事が、、、

  • 30代後半の人間が今まで一度も直に遺体を見た事が無いってどうなの?希少すぎない??
  • 納棺師の仕事をしてるって知った途端に友達&妻があそこまで拒否反応示すのはどうなの?

でも実際の納棺師の方が書いた本が元になってるって事だからリアリティあるのか??


私なんか小学3年生の頃に初めて身近な人の死に出会って、その後は身内のお葬式でなくてもお顔を見させてもらったりしてるけどな。
祖父母が亡くなった時なんかは、中学生&高校生の頃だったけど、一晩中ろうそくとお線香を絶やさないように遺体の近くにいたし。*5
だからあんなに拒否反応を示す周りが理解できなかった。
あのご遺体役のDVDを見ちゃったらビックリするだろうけど、なぜ話し合おうともせずにあそこまで拒絶するのか?ウソをつかれていた事が気持ちに拍車をかけているのか?*6この女は今まで彼のどこを見てきたんだろう?幼馴染ももう友達じゃない!みたいな冷たい態度だし。
うーん。分からん。


ラストが少し唐突すぎる感じがしたけど*7鮮やかな納棺の儀の所作に感心したり、それぞれのご遺体のエピソードに笑ったり泣いたり、、、最初に書いたように、見終わった後はとっても温かい気分になれました。


最後ですが、改めまして、アカデミー賞外国語映画賞受賞おめでとうございます!
映画を観ていて、ここのセリフはどうやって英語に訳されるのかな?なんて事が気になりながら観てました。
機会があればアメリカ公開版も観てみたいものです・・・。



今回すごく残念だったのがパンフレットを買えなかった事。
上演前に買えば良かったーー!!(涙)
目の前で売り切れましたよ!入荷の予定もないそうでorz
明日からパンフ探しの旅が始まります(爆)




評価@★★★★★★★★★☆

*1:実際それで“二十世紀少年”とどちらを観るか迷ってる時に一度止めたのです。

*2:お手洗いかな?

*3:ご本人の考え方がこの映画の主人公に添っているのかな?

*4:アレ?WASABIは世界デビューになるの??

*5:周りの大人は昼間やらずーっと忙しいから夜中は私がって申し出ました。交替で誰かが様子を見に来たりはしてたけど基本的には私が一人で。もちろん朝方には爆睡です、、、周りでバタバタと人が走り回ってる中(笑)

*6:でも1,800万円のチェロを黙って買った事については笑顔で許してたし・・・

*7:もう少し余韻があっても良いかな〜と思いました。生まれた子供との石文(だっけ?)シーンとかさ。